【レビュー】森博嗣『すべてがFになる』
この記事はネタバレがあります。トリックに言及する部分もあるので気を付けてください!
こんにちは!推理もののトリックを当てたためしのないChuShunです。
みなさん、「F」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。僕はファミリーマートですね。ファミチキファンなので。いつもビッグファミチキにしようと思うけれど、値段を見て普通のにしてしまいます(笑)
さて、今回はそんな森博嗣先生の『すべてがFになる』を読了したので振り返ってみたいと思います。
僕は見てないですが、ドラマ化やアニメ化もされた超人気作品です。
あらすじ
舞台は妃真加島(ひまかじま)という孤島にそびえる巨大な工学研究所です。ここは桁違いの天才、真賀田四季(まがたしき)博士がトップとなって研究が行われていました。真賀田四季はとある理由で人から完全に隔離された生活を送っていました。
彼女の部屋から、ウェディングドレスをまとい四肢が切断された死体が現れます。また、第二の殺人も...
たまたまゼミ合宿に来ていたN大学助教授の犀川創平と学生の西之園萌絵 はこの密室殺人を解決できるのか?遺された言葉、「すべてがFになる」とはどういう意味か?
評価ポイント
トリックについて
正直トリックは思いつきませんでした。
何度も登場している「トロイの木馬」をうまく用いたトリックだったと思います。また、冒頭の萌絵とのやりとりから、真賀田四季博士を「すべてを冷めた目で見ている孤高の科学者」という認識を植え付けられていたので、真相にはびっくりしました。niceトリックですね。
真犯人について(完全ネタバレあり)
真犯人は真賀田四季です。「やられた」と思いましたね。
僕は、真賀田四季の妹、真賀田未來はがしいと僕は思ってました、だって全然登場しないし。
今思えばこれもミスリードなのかなと思います。一歩譲ったミスリードというか、読者
を誘導しておいて、真実はさらにもう一歩奥にあるというか。この辺はうまいな、と思
いました。
ちなみに、ちょっとだけゼミ旅行メンバーが真犯人説もかんがえました。今思うとめちゃめちゃ的外れですね(笑)
すべてがFになる
タイトルにもなっているこの言葉。本編では殺人があったとされる真賀田四季の部屋のPCのディスプレイに表示されていました。
僕は初見でFの意味を当てました!(いばるな)
このFの謎のヒントが萌絵と四季の会話にあります。「7が孤独」だの「BとD孤独」みたいなやつです。また、レッドマジック、プログラミング...などの言葉から連想ができました。理系ならでは、ですね。
明確なヒントを実は与えてくれていたというのはいいなと思いました。僕はそこまでつなげられませんでしたが(笑)
犀川創平と西之園萌絵のコンビ
犀川創平の哲学的思想はとても印象に残っています。物語の要所要所でボソッとつぶやくセリフがかっこよかったです。
萌絵はずば抜けた計算能力を持ち、犀川の能力の一歩手が届かない場面を手助けする場面があって、いいコンビネーションを発揮していると思いました。
表紙に書いてある文字
「THE PERFECT INSIDER」と表紙にかいています。奇妙なワードですが、「完全な内部者」という意味、読んだ後では納得。
賛否両論点
真犯人について
正直、動機が不明です。真犯人の真賀田四季はイカレている人物なので、第一の殺人の動機はわかるにしても、第二、第三の殺人の動機は不明です。作中でも言われている通り、研究所からの脱出という目的には不必要でした。
この辺の理由は、真賀田四季が天才だから、みたいなことでごまかされていた気がしますが、ミステリとして読む場合には動機は推理の手掛かりの一つとなるので、できれば言及してほしかったなぁと思います。
また、第二の殺人は少し無理があるように感じました。
すでに刺されている状態で、悲鳴も上げず、人としゃべれますか、、、
まとめ
一読の価値ありでしょう。ミステリとしてトリックや、その意外性はさることながら、この作品の魅力は研究職に生きる人間の哲学的な姿勢にあるとおもいます。
犀川と萌絵、真賀田四季のストーリーはシリーズ化されているらしく、他も読んでみたいと思わせる作品でした。
以上です。ながながと読んでいただきありがとうございました。