限界理系大学生

文化的に生きたい大学生のブログ

【逆転裁判5】よかった・イマイチなところ

*この記事にはネタバレが含まれます。推理ものゲームのふりかえりなので、未プレイの方はブラウザバック推奨です*

 

逆転裁判5をとうとうクリアしました。ラストの真相にはプレイしててびっくりしました!

 

今回はそんな逆転裁判の良かった点とうーん。。。な点を書きたいと思う。

 

良かった点

1.逆転裁判4をなかったことにしないストーリー展開

ナンバリングタイトルなので当然ですが、逆転裁判4の後のストーリーとしてうまくまとまっていると思いました。前作4では、123から大幅にストーリー設定がめちゃくちゃになっていたのですが、今作はその設定を補完できていると思う。

 

ラスボスの正体は正直気づかなかったです。あの刑事が出てこないので今作はそのポジションか~なんておもっていたので...

 

2.オドロキくんの成長

実は4をプレイしたのが10年以上前な僕ですが、(しかもこれがはじめての逆転裁判プレイ)オドロキくんは割と不遇な扱いだった記憶があります。トドメを成歩堂に持っていかれたり。

 

今作では、成歩堂の教えを引き継ぎつつ、安定した弁護をして、独自の路線で真相を追求するキャラとして描かれていて正当進化した感じがうれしかったです。

 

3.3Dモーション・アニメーションの挿入

アニメが冒頭や話の途中で入るようになったのはよかったです。静止画メインのゲームなので、プレイ中に適度な緊張感をもたらしてくれます。

 

また、3Dモーションも個人的にグッドです。たしかにドット絵も雰囲気が出ていていいんですが、3D化したことでダメージモーションが豪華になっていてみてて楽しかったですね(笑)

 

4.システム面

地味なんですけど、証言のページ数を明記してくれたのはボタン連打してつきつけるシーンを飛ばしてしまうせっかちな僕にはありがたかったです。これたぶん検事とかにはなかった気がします。

 

あとはBGMがよかった。いっぱいあったし。

 

イマイチなところ

1.超ヌルゲー

初めて逆転裁判に触れる、という人にはちょうどいい難易度かもしれませんが、本作はナンバリング史上一番簡単だと思います。証拠写真などを渡されたときに矛盾点が浮かび上がってしまうので、弁護側がピンチな状況になっても、正解がわかっていて興ざめすることは多々ありました。

 

また、ヒントめちゃめちゃくれます。過去作ではノーヒントであろう場面についても、ヒントをくれるので、自分である程度まで考えたい自分にとっては困惑することもありました。

 

2.証人たちとか犯行動機とか

本作は癖のある証人が多いです。友達が有罪にされそうなのに、無意味に嘘ついたり、(第三話)真実を話してくれる被告人がいなかったりと、すこし納得できない行動をとる証人がうっとうしく感じました。せめて被告人だけは信じられるような設定にしてほしかった。

 

真犯人の犯行動機も薄い。例えば、賄賂受け取ったのがばれたとか、もっと方法あったと思います。

 

3.ココロスコープ

個人的にココロスコープいらないです。感情を指摘して矛盾を突き付けるというのはやはり強引で、非論理的だと思います。ただ、ラスボス戦での使い方はよかったですが。

 

逆転裁判の面白さは、証拠品と事件を結び付けて考えて矛盾を暴く快感にあると思うので、感情というのはやはり根拠に欠けると思います。というかモニ太という得体のしれない装置の使用を認めている裁判所はオカシイと思います(笑)

 

4.調べるコマンド

今作では調べるコマンドが特定の場面にしか出てこないのが残念。あらかじめ用意されたストーリーをすすめないとできず、また調べる箇所もすべて教えてくれるので「調べさせられている感」がものすごく強いです。ほとんど小説読んでるようなもんです。

もっと自由に調べたかったな~というのが正直なところです。

 

まとめ

この作品の評価は「過去作123ほど出来は良くないが、初心者であったり、4をプレイしたことがあったりするならオススメ」です。

 

総合的にゲームの面白さは10点満点でいうと7点くらいですかね。。。

 

トリックなどは、少し薄味ですが、ぶっ飛んでる証人たちや、キャラの掛け合いなどの「らしさ」はしっかり詰め込まれています。ファンなら必ずプレイしてほしい作品だと思います。

 

 

以上です。ながながとありがとうございます。

【逆転裁判5】逆転学園の疑問点

ネタバレがあります。注意してください!

 

 

こんにちは!

 

今回は、逆転裁判5の第三話『逆転学園』をプレイしてて「え?」と思ったところを書こうと思う。自分の中で整理するために。。。

 

 

このストーリー、キャラクターの正体が意外なものだったり、トリックが裁判中に二転三転したりしておもしろかったが、いろいろと衝撃的な要素を盛り込みすぎたせいで破綻が生じているように思う。

 

3人の友情

森澄、厚井、静矢は入学当初からとても仲が良く、おたがいに信頼しあっている関係でだった。しかし裁判中では厚井、静矢が重大な隠し事をしていることがわかり、それが暴かれる。

 

ここまではいいが、裁判が終わってみると結局この隠し事は事件に全く関係がなかったのは問題だと思う。たしかに、性別が違ったり、7浪していたりと本人の学園生活上でばらされたくないことかもしれないが、自身が有罪の容疑をかけられているのに隠し通そうとしたのは謎である。。。人が死んでいるのにこれはひどい

 

 

無理やりトリック

三階から死体を落として、下に敷いていた体育用マットでうけとめる。というトリックを検察側は用意してきたが、さすがにむりじゃない?受け身をとれる生きた人間ならまだしも、死体に損傷なく実行できるとはとても思えない。

 

 

あと、真犯人はなぜ杖を処分しなかった?しっかりとガリューウェーブの旗は焼却炉に行って処理しているのに、血液が付着している杖は処分しなかったのか。。。

 

 

とんでもトリックが多い逆転裁判シリーズでトリックが無理やりだと指摘するのは野暮な気もするが、さすがに気になったので書いておく。

 

後日談

いくら亡くなった人物の要望だったとはいえ、殺人事件が起きた次の日に、殺人のあったのと同じ舞台で学園祭を開催するのは倫理的にどうなのか?歌うたってる場合じゃねぇ...

 

 

でも、おもしろかった

ここまで悪いところばかり書いてきたが、僕はこのストーリーは結構好きだ。学園が舞台というのも珍しいし、学生が証人としてでてくるのも、「まさか学生が殺人を行うのか?」とドキドキして新鮮だった。

 

真犯人含め登場人物のキャラが立っていたのもよかった。とくに真犯人はギャグセン高くてグッド。

 

 

 

以上です。ありがとうございました。

【解釈】サカナクション『アルデバラン』

こんにちは!ChuShunです。

 

今回はサカナクションの『アルデバラン』の解釈を自分なりに書いていこうと思います。

 

サカナクションの中でもマイナーな曲ですが、鳴り続けるハイハットの裏打ちと短い単語を繰り返される歌詞が特徴的でな一曲です。サビではコーラスも相まってグルーブ感が半端ないですね!

歌詞

Aメロ

1番

じっと じっと じっと 僕は待つの 汚れたアルデバラン

しっぽ しっぽ しっぽ 振って今日も 現れるだろう

 

人 人 人 また人 通り過ぎる街で

きっと きっと きっと 何千回も 鳴いたはずだろう

 

じっと じっと じっと 僕は待つの 汚れたアルデバラン

しっぽ しっぽ しっぽ 振って夜に 現れるだろう

 

人 人 人 また人 通り過ぎる街で

きっと きっと きっと 何千回も 泣いたはずだろう

 2番

じっと じっと じっと 僕は待つの 悲しみアルデバラン

しっぽ しっぽ しっぽ しっぽ立てて 今日もないているのか

 

人 人 人 また人 通り過ぎる街で

きっと きっと きっと 何千回も 歌われただろう

 

1番と2番の歌詞です。ぱっと見ほとんど同じで間違い探しみたいですね。

 

アルデバランは「鳴い」ているようです。これはサビを聞けば明らかになりますが、アルデバランは星のことではなく、どうやら猫の名前らしいです。実際に山口一郎がアルデバランという猫を飼っていたかは不明です。

 

情景は、都会のなかで、僕が猫のアルデバランを待っている、というところでしょうか。その猫の様子をみてひとこと述べているようです。

 

一番の歌詞では、「鳴く」と「泣く」でかけられています。言葉のダジャレというか、2つの意味を持たせてくる歌詞は山口一郎が好んで用いてくる技法です。ここでは、人間と猫とで二重化している表現でしょう。僕の悲しみを猫に重ねて顧みています。

 

一つ不思議なのは「歌われただろう」です。「歌う」としましたが、「謳う」なおでしょうか?賞賛されるといういみでなら、確かに猫というのは人に気に入られる存在で、否定する人は少ないでしょう。

 

「歌う」で考えると、やはり歌が、ですが、どういう歌なのでしょうか?猫にまつわる歌でしょうか、あるいは山口一郎本人の歌でしょうか?

 

サビ

明ける 明ける 猫の物語 僕は見ていた

明ける 明ける この物語 忘れたころには

 

シンプルな歌詞です。明けるはもちろん夜のことでしょう。「猫の物語」は猫を見ていろいろ思いを巡らせている様子を詩的に表現しているのだと思います。

 

真夜中の考え事って、とてもたいそうなことを考えているようで、お昼になると忘れてしまうんですよね。もしくは、実はそんなたいそうなことでもなかったことに気づくことってありませんか?ぼくは毎日あります(笑)

 

だから、いつでも「待つ」行為が繰り返されているのだと思います。同じ単語を繰り返す効果がここに表れています。

 

歌詞は関係ないですが、個人的に「猫の物語」と「この物語」で一音節ズレている部分が山口一郎の作曲の工夫が凝らされていて好きな部分です。

 

 

以上です。ありがとうございました。

【洋楽解釈】Imagine Dragons『Demons』

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こんにちは!Toeic700くらい(高すぎず低すぎず笑)のChuShunです。

 

今回はアメリカ、ラスベガス出身のロックバンド、Imagine Dragonsの『Demons』という曲を深く聞きたいと思います。

 

日本では(というか僕の周りの大学生の間では)全く知名度がないんですよね(悲)一時期行っていた音楽サークルでも知ってる人がいなくて悲しかったです。

歌詞

[verse1]

When the days are cold      
And the cards all fold       
And the saints we see
Are all made of gold

 

When your dreams all fail
And the ones we hail
Are the worst of all
And the blood’s run stale

 

[pre-chorus]

 I want to hide the truth
I want to shelter you
But with the beast inside
There’s nowhere we can hide

No matter what we breed
We still are made of greed
This is my kingdom come
This is my kingdom come


[chorus]
When you feel my heat
Look into my eyes
It’s where my demons hide
It’s where my demons hide
Don’t get too close
It’s dark inside
It’s where my demons hide
It’s where my demons hide


[verse2]
When the curtain’s call
Is the last of all
When the lights fade out
All the sinners crawl

So they dug your grave
And the masquerade
Will come calling out
At the mess you made

 

[pre-chorus2]
Don’t want to let you down
But I am hell bound
Though this is all for you
Don’t want to hide the truth

No matter what we breed
We still are made of greed
This is my kingdom come
This is my kingdom come

 

[chorus; the same]
When you feel my heat
Look into my eyes
It’s where my demons hide
It’s where my demons hide
Don’t get too close
It’s dark inside
It’s where my demons hide
It’s where my demons hide

 

[verse3]
They say it's what you make
I say it's up to fate
It's woven in my soul
I need to let you go

Your eyes, they shine so bright
I want to save their light
I can't escape this now
Unless you show me how

解釈

 [verse1]

過酷な生活が続き

切り札もすべて失い

見ている聖人たちが

みな強欲であったとき

 

夢もすべて破れて

これだと認めたものも

最悪の出来ばかりで

何もうまくいかないとき

 

*誰かが苦境に立たされている、ということを意識して訳しました。the blood's run staleは直訳「血が古くなる」ということですが、「巡りあわせが悪くなる」とくみ取った。

 

[pre-chorus1]

真実は隠したい

君を守りたい

でも、人間には魔物がひそんでいるんだ

逃げ場所などないんだ

 

どれほど良いものを産み出したって

人間は欲望の塊なんだ

これが僕の本性なんだ

これが僕の本性なんだ

 

*kingdom「王国」と訳すとよくわからなくなるので「領域」と訳す。人間はどうやったって汚い部分とは切り離せない、というメッセージです。

 

[chorus]

僕のぬくもりを感じる時

目をのぞき込んでごらん

そこに悪魔がいるよ

そこに悪魔がいるよ

 

あまり近づいちゃダメだ

中身は闇に包まれているから

そこに悪魔がいるよ

そこに悪魔がいるよ

 

[verse2]

カーテンコールも終わってしまって

光が消えいったとき

罪びとたちが這いずりだす

 

そして奴らは君の眠るところと虚構を掘り起こし

金切声上げてやってくる

君が作り上げた窮地に

 

*難解です。悪い奴らが君をいつでも狙っているくらいのニュアンスで。

 

[pre-chorus2]

君の絶望した顔を見たくない

けど僕は地獄の番犬なのさ

君のためにできることはこれですべてだけど

真実を隠してはならない

 

どれほど良いものを産み出したって

人間は欲望の塊なんだ

これが僕の本性なんだ

これが僕の本性なんだ

 

*今更ですけど、demon, hell bound, sinner等は多分同一のもの言い換えかなと思います。[pre-chorus1]では真実を隠したいけどここでは真実を隠すなと言ってますね!

 

[verse3]

人は何事も自分次第だという

でも僕は運命の存在を信じる

生まれた時からそうなんだって

君を自由にしなきゃならない

 

君の瞳はとてもまぶしくて

僕は守りたいんだ

どうすればいいの?

僕は一歩も引く気はないよ

君が教えてくれるまではね

 

*個人的にi cant escape this nowのcantが気になっていました。「逃げられない」という呪縛を表しているのか、「逃げるなんてありえない!」という強気の姿勢なのか。今回は後者で訳しました。

 

*人間は醜いものを持っていると知っている「僕」が、穢れのない「君」を見つけた時に穢れを知らない人間の存在を感じ始めているようにとらえた。「look into the eyes, it's where my demons hide」と「your eyes, they shine so bright」ついになっているように思いました。

 

まとめ

イマドラは哲学的で啓蒙的な歌詞が多くて好きです。今回のDemonsは「大体の人間には悪魔が潜んでいるけど、そうでない人間を信じたい」みたいなニュアンスでしょうか?

 

ほかに解釈があればぜひ知りたいです!

 

以上です!ながながとありがとうございました。

 

【レビュー】森博嗣『すべてがFになる』

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この記事はネタバレがあります。トリックに言及する部分もあるので気を付けてください!

 

こんにちは!推理もののトリックを当てたためしのないChuShunです。

 

 

みなさん、「F」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。僕はファミリーマートですね。ファミチキファンなので。いつもビッグファミチキにしようと思うけれど、値段を見て普通のにしてしまいます(笑)

 

さて、今回はそんな森博嗣先生の『すべてがFになる』を読了したので振り返ってみたいと思います。

 

僕は見てないですが、ドラマ化やアニメ化もされた超人気作品です。

あらすじ

舞台は妃真加島(ひまかじま)という孤島にそびえる巨大な工学研究所です。ここは桁違いの天才、真賀田四季(まがたしき)博士がトップとなって研究が行われていました。真賀田四季はとある理由で人から完全に隔離された生活を送っていました。

 

彼女の部屋から、ウェディングドレスをまとい四肢が切断された死体が現れます。また、第二の殺人も...

 

たまたまゼミ合宿に来ていたN大学助教授の犀川創平と学生の西之園萌絵 はこの密室殺人を解決できるのか?遺された言葉、「すべてがFになる」とはどういう意味か?

 

評価ポイント

トリックについて

正直トリックは思いつきませんでした。

 

何度も登場している「トロイの木馬」をうまく用いたトリックだったと思います。また、冒頭の萌絵とのやりとりから、真賀田四季博士を「すべてを冷めた目で見ている孤高の科学者」という認識を植え付けられていたので、真相にはびっくりしました。niceトリックですね。

 

真犯人について(完全ネタバレあり)

真犯人は真賀田四季です。「やられた」と思いましたね。

 

僕は、真賀田四季の妹、真賀田未來はがしいと僕は思ってました、だって全然登場しないし。

 

今思えばこれもミスリードなのかなと思います。一歩譲ったミスリードというか、読者

を誘導しておいて、真実はさらにもう一歩奥にあるというか。この辺はうまいな、と思

いました。

 

ちなみに、ちょっとだけゼミ旅行メンバーが真犯人説もかんがえました。今思うとめちゃめちゃ的外れですね(笑)

 

すべてがFになる

タイトルにもなっているこの言葉。本編では殺人があったとされる真賀田四季の部屋のPCのディスプレイに表示されていました。

 

僕は初見でFの意味を当てました!(いばるな)

 

このFの謎のヒントが萌絵と四季の会話にあります。「7が孤独」だの「BとD孤独」みたいなやつです。また、レッドマジック、プログラミング...などの言葉から連想ができました。理系ならでは、ですね。

 

明確なヒントを実は与えてくれていたというのはいいなと思いました。僕はそこまでつなげられませんでしたが(笑)

 

犀川創平と西之園萌絵のコンビ

犀川創平の哲学的思想はとても印象に残っています。物語の要所要所でボソッとつぶやくセリフがかっこよかったです。

 

萌絵はずば抜けた計算能力を持ち、犀川の能力の一歩手が届かない場面を手助けする場面があって、いいコンビネーションを発揮していると思いました。 

 

表紙に書いてある文字

「THE PERFECT INSIDER」と表紙にかいています。奇妙なワードですが、「完全な内部者」という意味、読んだ後では納得。

 

賛否両論点

真犯人について

正直、動機が不明です。真犯人の真賀田四季イカレている人物なので、第一の殺人の動機はわかるにしても、第二、第三の殺人の動機は不明です。作中でも言われている通り、研究所からの脱出という目的には不必要でした。

 

この辺の理由は、真賀田四季が天才だから、みたいなことでごまかされていた気がしますが、ミステリとして読む場合には動機は推理の手掛かりの一つとなるので、できれば言及してほしかったなぁと思います。

 

また、第二の殺人は少し無理があるように感じました。

すでに刺されている状態で、悲鳴も上げず、人としゃべれますか、、、

 

まとめ

一読の価値ありでしょう。ミステリとしてトリックや、その意外性はさることながら、この作品の魅力は研究職に生きる人間の哲学的な姿勢にあるとおもいます。

 

犀川と萌絵、真賀田四季のストーリーはシリーズ化されているらしく、他も読んでみたいと思わせる作品でした。

 

 

以上です。ながながと読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

【レビュー】筒井康隆『旅のラゴス』は面白い!

【注意】この記事にはネタバレがあります。

 

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こんにちは。いつかは大きな旅をしてみたいChuShunです。

 

バックパック一つでぶらりと出かける、日本語の通じない、見たこともない物や人に出会うような旅行って憧れませんか?

 今回はそんな小説。SFの巨匠、筒井康隆先生の著書『旅のラゴス』について自分が感じたこと、おすすめな点をつづりたいと思います。

 

 

 

余談ですが、この本の帯に「ネット上で大人気!!」みたいなことが書いてあったんですが、これは、Twitter上でこの『旅のラゴス』がスタジオジブリで映像化されるというデマがひろがったことによるらしいです(笑)でも、実際に映像で見てみたい世界観だなぁと思います!

 

あらすじ

高度の文明が栄えていたが、突如荒廃してしまい、その衝撃で人々が超能力を手に入れた世界(たぶん地球とは異なる)を舞台に南北を繰り返し旅し続ける男ラゴスは旅を続ける中で様々な体験をします。

 

一つの場所にとどまったと思ったらまた別の地へと去っていくラゴスの目的は何か?ということをテーマにラゴスの生涯を淡々と描いた連作長編です。

 

魅力

世界観が徐々につかめるようになっている構成

この小説はラゴスの旅の様子を時系列順に12の短編から成り立っています。第一編『集団転移』では遊牧民のような生活をする民族と行動を共にしているラゴスが描かれます。「あぁ、旅とはこういうことか」と思い読んでいると突然『トリップ(転移)』という瞬間移動能力が登場します。

 

さらっと登場したので個人的に驚きつつも、ぐっと世界観に引き込まれました。この後にも、予知夢や壁を通り抜ける超能力、古代文明の遺産、この世界の学問水準が確変ごとに小出しにされて登場し、読み進めることがやめられなくなってしまいます。

ラゴスの人物像

物語中盤でラゴスは学級の徒としてポロという地で先祖の遺した古文書を読了することを目的の一つだと明かします。その結果10年ほど家から出ずにひたすらあらゆる学問を学びます。めっちゃ熱心。

 

このようにラゴスは、多少醒めたキャラクターでありつつも、良識ある、公明正大であるところにとても好感が持てます。

 

また、何かを成し遂げた途端、得られたものを引っ提げて、何かに取り憑かれたようにまだ見ぬ土地に身を投じる姿勢は個人的にとても憧れます。

緻密な世界観

ファンタジーものでありがちなのが、ある設定を付け加えたおかげで現実世界と比較して少し違和感を抱かせる矛盾がうまれるということです。

 

たとえば、瞬間移動をマスターすれば移動手段にウマや船は必要ないと考えてしまいます。しかし、この点は「強い精神力がいる」、「数時間かかることもある」というようなことを確かな描写力をとおして説明してくれるので、妙なリアリティをもってきます。

 

壁抜けも「頑張ればできるかも!?」と僕は思ってしまいましたね(笑)理系の敗北です。

賛否両論点

この本を読むにあたって、好みが分かれる部分もあります。

ラノベっぽい!?

僕の友人はこの本を「表現力が高すぎるラノベ」と言っていました(笑)

 

というのも、ラゴスは物語中盤、膨大な知識を得て(もともと賢いですが)旅した先でその知識を生かして「無双」します。また出会った女性のほとんどがラゴスに恋します。この点は四出て僕自身も「ラノベっぽいなぁ」と思っていました。

 

もちろん、ストーリーは面白いですが。

気になるラスト

最終編『氷の女王』は文字通り氷の女王に会いに行く話ですが、出会うことなく物語は終わります。俺たちの戦いはここらだエンドです。はたして氷の女王に会えたのかは読者の想像にゆだねられます。

 

初めて読んだときは、釈然としない感じがありました。最終章ということもあってか、すっきりとした読了を味わいたかったのですが...

まとめ

あまりガチガチのSFではなく、このジャンルに手をだしたことのない層でも楽しめると思います。賛否両論点はあると思いますが、卓越した表現力と物語の構成力から生み出される世界観には圧倒されるものがあり、完成度はとても高い作品に仕上がっています。

 

以上です!ながながとありがとうございました。

【解釈】THE BLUE HEARTS 『月の爆撃機』

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こんにちは。幼いころ父親のカーステレオでブルーハーツを聞いていたChuShunです。

 

今回は、ブルーハーツ『月の爆撃機』で、自分の感じるところを書きたいと思います。

 

 

リンダリンダ』、『終わらない歌』などで数多くの有名曲を打ち出したブルーハーツの中でもこの曲はちょっとマイナーよりの、でもファンの間では根強い人気を誇る楽曲です。いわゆる隠れた名曲というヤツです。

 

ロディアスでどこか哀愁を感じさせるギターサウンドブルーハーツの中でも独特で、奇警な雰囲気を有しています。

 

歌詞を解釈

ここから一歩も通さない

理屈も法律も通さない

誰の声も届かない

友達も恋人も入れない

手掛かりになるのは薄い月明り

 いきなりかっこいいですね。この場面では、何人にも干渉されない場所の存在を示しています。それはどこか。「ここから」とある通り距離的に自分に近い存在、つまり自分というものの本質のだれにも影響を受けない何か、を示唆していると思います。

 

その手掛かりは月明りらしいです。ふむ。

あれは伝説の爆撃機

この街もそろそろ危ないぜ

どんな風に逃げようか

すべては幻と笑おうか

手掛かりになるのは薄い月明り

 ここにきて「爆撃機」が登場します。僕はこの爆撃機を自分の心の干渉されない何かであるとともに他人に強く影響を与えうるものと解釈しています。爆撃機って他人を攻撃するものですもんね。

 

この歌詞では、自分の街(自分が共に暮らしてきたもの、つまりこれまで興味を持っていたもの)に他人の爆撃機がやってきた。つまり、自身が他者から強い作用を受ける時に、どのようにふるまうのか?と問いかけています。

 

作者の甲本ヒロトにとっては、伝説の爆撃機とは、たとえば、伝説のロッカーでしょうか?

 

彼に出会ったとき、いままで過ごしてきた分野を投げ出すか、すべてを迎合するのか?

 

やはり、その手掛かりは月明りらしいです。なるほど。

僕は今コクピットの中にいて
白い月の真ん中の黒い影
錆びついたコクピットの中にいる
白い月の真ん中の黒い影

 「僕」の爆撃機は月にいるらしいです。思えば、月の爆撃機って奇妙なタイトルではないでしょうか?爆撃機、つまり誰かを攻撃するためのものが月にいる、といのはどうも腑に落ちないです。

 

これは「僕」の生き方は、他のだれにも影響を受けないし、また誰かに影響を与えるものでもないのだと主張しているようにおもわれます。本当の意味で自由です。

いつでもまっすぐ歩けるか
湖にドボンかもしれないぜ

誰かに相談してみても
僕らの行く道は変わらない
手掛かりになるのは薄い月明り

ラストはこの歌詞で締めくくられます。ストレートに誰に何を言われようと自信を曲げるつもりはないのだと宣言します。一番の歌詞のをわかりやすくまとめてくれています。個人的には、一番の歌詞の解釈はこの部分を見れば明らかだと思っています。僕が書く意味が...(笑)

 

さいごに、月明りについて。月に行けば自由になれるのだということをサビでのべていましたが、そのチャンスは誰にでも降りかかるのだ、ということを伝えたいのだと思います。月明りって誰のもとにでもふりそそぐものですから。まさに手掛かりだったのです。

まとめ

もちろん、人によって感じ方は異なりますが、他人に縛られない生き方をつかんでほしい、という思いのこもった名曲だと思います。平易な言葉だけど、奥深いメッセージ性をこめるのはさすが甲本ヒロトだなぁとほれぼれします!

 

以上です。ながながとありがとうございました!